2015年9月1日火曜日

第13話 ゴシップガールにご用心!?(前編)


第13話 ゴシップガールにご用心!?(前編)



ブレアの妊娠記事が『ゴシップガール』に投稿された翌朝。

学生「ちょっとこれ見た?」

学生「汚い女だよ。偽善者だったってことでしょ」

学生「化けの皮が剥がれたって感じ」

ブレアの評判は急変していた。

(みんなの憧れの女の子だったのに…)




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お昼休み、ブレアとセリーナとメトロポリタン美術館の外階段へ行くと、
ランチタイムのブレアの定位置には女の子がすでに座っていた。
ブレアは自分の親衛隊へ向かい、つかつかと階段を上る。

ブレア「ハイ、みんな」

女の子たちは冷めた表情でブレアを見上げる。

女の子「チャックとネイト、学校の前で派手にやりあってたよ」

女の子「元カレとその親友か」

女の子「さっさと椅子明け渡したら?女王様」

元・ブレア親衛隊はそれだけ言って、再びランチを再開した。
落ち込んだ顔で戻ってくるブレア。

セリーナ「今日は他のとこでランチ食べよ」

ブレアは力なくうなずいた。




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近くのカフェに入ると、ブレアは気落ちしたようにつぶやく。

ブレア「フランスにでも行こうかな…」

「え?」

ブレア「パパがフランスのお家に私の部屋を用意してくれているから…」
   「半年くらい、留学するのも悪くないかと思って」

セリーナ「ダメだよブレア!バカな噂話に負けて私みたいに逃げないで」

ブレア「でも、パパのお家にも行ってみたかったしちょうどいい機会…」

セリーナ「弱気になるなんてブレアらしくないよ」

ブレア「だってもう…私の居場所、ここにはないんだもん」

セリーナ「あなたはウォルドーフだよ?他人にとやかく言われる人間じゃないの!ここで一緒に戦おう?」

「そうだよ、一緒になら乗り越えられる!」

ブレアはセリーナと私の顔を見て、眉を寄せてうつむく。

(強いと思ってたブレアでも、『ゴシップガール』でこんなに参ってしまうんだ…)

セリーナと私はその後も説得をし、どうにかブレアはフランス行きを諦めてくれた。

ブレア「…ブレア・ウォルドーフの名誉挽回は、面白いパーティーを開くしかないかな」

セリーナ「その意気だよ、ブレア!」

ブレア「ほんと、『ゴシップガール』って厄介」

「ブレアもセリーナも、ずっとこんな大変な思いしてきたんだね」

セリーナ「人のこと心配してる場合じゃないよ、⚪︎⚪︎」
    「こないだのプレミアのこと、早速『ゴシップガール』に撮られちゃったし」

映画のプレミアでレッドカーペットを歩くマークと私の姿を激写した誰かが早速『ゴシップガール』に
投稿したようで、その夜にはサイトはその話題で持ちきりになっていた。

「ほんと、どこでだれが見てるかわからないね」

ブレア「⚪︎⚪︎が気をつけなきゃいけないのは、『ゴシップガール』だけじゃないかも」

「どういうこと?」

ブレアは少し身を乗り出すようにして私の目をじっと見つめる。
ブレア「動かないでこのまま聞いて。さっきから窓の外で帰ら持った奴らがこっち見てる」

「え…」

ブレア「あれ、パパラッチだよ」

セリーナがさりげなく窓の外を見る。

セリーナ「ほんとだ」

「どうしよう…」

セリーナ「私たちが守るから、大丈夫」

昼休みも終わり、3人は席を立つ。
セリーナとブレアに挟まれるようにして、私はカフェを出た。





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途端、ウロついていた数人の男が私にカメラを向ける。

セリーナ「撮らないで」

ブレア「どいてくれる?邪魔なんだけど」

二人に庇われながら、なんとかその場を切り抜けたと思った次の瞬間、

パシャ!

油断した隙にアップを撮られてしまった。

セリーナ「ちょっと!」

男「プレミアの時ははっきり顔が撮れなかったからね。これでしばらくは飯が食える。ごちそうさん!」

ブレア「待ちなさい!あなたたちみたいな下衆に飯の種を与える筋合いはないわ。データを渡しなさい」

パパラッチは顔を歪ませニヤリと笑う。

男「年上キラーと名高い御曹司マーク・ジョーンズをも狂わせる名門女子高生は」
 「その取り巻きからもわかるように、かなり悪女らしい。見出しはこれで決まりだ」

ブレア「ちょっと。待ちなさいって言ってるでしょ!」

男はすぐさまバイクにまたがり走り去っていく。

(想像してた以上に…自分の環境が前とは変わってるみたい)




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数日後、私はマークの家を訪れる。

(会いたいって言われたけど、きっと、あのことだよね)

カフェの前でパパラッチの襲撃を受けた翌日、
大衆紙ニューヨーク・ポストに予告どおりの記事が掲載されたのだった。


マークは私を部屋に通すなり、神妙な面持ちで口を開く。

マーク「ほんとごめん…俺のせいで⚪︎⚪︎にまで嫌な思いさせてしまって」

「マークが謝るようなことじゃないよ。私こそ迷惑かけてごめん」
「もっと、自覚を持って行動するべきだった」

マーク「⚪︎⚪︎は何にも悪くない。あいつらはなんでもセンセーションに書き立てる」
   「それが真実か嘘かなんて奴らにはどうだっていいんだ」

「マークはずっとこういうことに耐えてきたんだよね。私も慣れていかないと」

マーク「いいんだよ。こんなことに慣れる必要はない。俺が絶対に守るから…」

「ありがと」

するとマークはニコッと微笑む。

マーク「ところで…その手に提げてるのって、何?」

「ここへ来る途中にあるハーベストってお店で買ってきたの」

マーク「ひょっとしてチーズケーキ?」

「当たり!」

マーク「ここの美味しいんだ。嬉しいな〜」

内線電話を手に取るマーク。

マーク「俺だけど、ハーブティー2つお願いしていい?うん、えっと、レモングラスで。ありがと」

電話を置いたマークに私は言ってみる。

「ハーブティーって、マークのお母さんが好きだったんでしょ?」

マーク「どうして知ってるの?」

「こないだ、レオンに聞いたよ」

マーク「レオン…」

マークは少し戸惑うように瞬きをした。

「一度、レオンの家に行ったことがあるの。その時にマークとの出会いの話を聞いて」

マーク「そうか…レオンの家、行ったんだ…」

マークは頭の後ろで両手を組みながら、歩き出した。

「あ、もちろん、マークとこうなる前だよ?」

するとマークはくしゃくしゃと自分の頭を掻く。

マーク「ヤキモチとか焼かない余裕な男になりたかったのにー!まだまだだな、俺も」

「ごめんね…」

マーク「ううん。カッコ悪いとこ見せてこっちこそゴメン」

「そんなことないよ。誰と会ってても何にも気にならないってのも、ちょっと寂しい気もするし」

マーク「ほんと?」

マークは私の前に戻ってくると、両肩に手を置く。

マーク「じゃあ、仲直りのキスしよっか」

「ケンカしてないけど」

マーク「あれ?そうだっけ?」
   「じゃあ…美味しいケーキ買ってきてくれたお礼のキス」

そういってマークの顔が近づいてきたその時、

コンコン…

慌てて私たちは離れる。

ガチャリ

メイド「ハーブティーをお持ちしました」

マーク「あ、ありがとう…」

メイドさんが部屋から出て行くと、マークと私は顔を見合わせて笑う。

マーク「彼女の仕事が早いのを忘れてた」

「ふふ…」

2人、チーズケーキを食べ始める。
すると、マークのベッドの上に数冊の雑誌が置かれているのが目に入った。

「あれ、なんの雑誌?」

マーク「ああ、エロいやつ」

(…え?)

「表紙見る限りそう見えないけど…」

マーク「デジタルでフィルムルックの映像を撮影する方法が載ってるの。俺にとっては相当エロい」

「…なるほどね」

マーク「あ、いま呆れたでしょ?」

「ううん。いつも映画の勉強してて、偉いなーと思ったの」

マーク「ただ楽しいだけだから、偉くはないけど」
   「⚪︎⚪︎だって、ファッションの本読むのってただ楽しいからでしょ?」

「たしかに」

ケーキを食べ終わり、マークがいろんな映像技術の本を紹介してくれる。
その生き生きとした顔を、隣から見ていたくなった。

「マーク、本読んでていいよ。あの雑誌、途中にペンが挟んであるし、続き読みたいでしょ?」

マーク「せっかく⚪︎⚪︎が来てくれてるのに、エロい本読めないよ」

「エロいって…あ、じゃあ私も自分の好きな本読んでるから。いつも持ち歩いてるファッションの本」

マーク「じゃあ、デザートの後はのんびり読書にするか」

「うん!」

2人はそれぞれ本を手に、ベッドへ横になった。
するとヘッドボードに寄り掛かっていたマークが、ふと雑誌を横に置き、
寝ている私の頭を自分のお腹の上にのせる。

マーク「こっちの方がラクでしょ?」

「…あ…うん。ありがと」

マークのお腹を枕代わりにしながら文字を目で追うも、私は胸がドキドキしてなかなか本に集中できない。

マーク「⚪︎⚪︎…」

「ん?」

見上げると、マークがヘッドボードから体を起こして私を見下ろしている。

「…何してるの?」

マーク「キスしようとしてるの」

次の瞬間、チュッと軽く唇が触れ合った。
恥ずかしくて私は赤い顔で本を隠す。

「マーク、腹筋ぷるぷるしちゃったんじゃない?」

照れ隠しにそう言うと、マークはクスッと笑う。

マーク「俺は細くてもマッチョなの。なんなら見る?」

「遠慮しとく」

マーク「はい、じゃあ読書に戻りなさい」

そういって、私の頭をポンポンと撫でた。
マークの細いマッチョなお腹枕にも慣れ、私はのんびりと本のページをめくる。
ブレアに似合いそうなカチューシャ特集記事のところで、私はふとマークの方を見上げる。

「そうだ…今度ブレアがパーティーを開くの」
「いま、彼女いろいろ大変だから、マークも参加して盛り上げて欲しいな」

マーク「うん、参加するよ。もちろん、⚪︎⚪︎のエスコート役としてね」

「良かった。ブレアも喜ぶよ」

マーク「ブレアのためでもあるけど、俺は⚪︎⚪︎のこと絶対守るって約束したから」
   「これからはいつも⚪︎⚪︎のそばにいたいんだ」

「ありがと…マーク」

そう言うと、また優しいキスが降ってきた。


To Be Continued…….


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