2015年10月31日土曜日

第1話 サプライズを探して(Party)



第1話 サプライズを探して


みんながバーを立ち去り、私とレオンだけが残った。

「えっと、まずは…どんなパーティーにする?」

レオン「それをこれから考えるんだろ?」

「そ、そうだよね」

(みんな、すごく楽しみにしてるみたいだったし、期待に応えないと…)
(ちょっとプレッシャーだな…)

引き受けたものの、私はちょっと不安だった。そんな私を見て、レオンがふっと笑う。

レオン「他の連中のことは、気にしなくていい」

「え?」

レオン「あいつらの考えていることは、俺や⚪︎⚪︎と同じ。マークが喜ぶ顔が見たいだけだ」

「レオン…」

レオンの言葉に、私ははっとする。

(そっか。マークが喜んでくれるパーティーが、みんなにとっても一番嬉しいよね)

「ありがとう、レオン。ちょっと気が楽になった」

レオン「そうか。じゃあ、今日は帰ろう。」

「ええっ?やる気になったところなのに!」

レオン「お互い案を練ってから、もう一度話し合った方がいい。明後日はどう?」

「明後日なら大丈夫だけど….」

レオン「なら明後日。マークの予定押さえるの、忘れないようにな。」

「うん。わかった」

レオンはそれだけ言うと、バーを立ち去って行った。

「…いいのかな?」

(レオンが頼りになる人だっていうのは分かっているけど…)
(こういうパーティーのアイデアとか、あんまり得意じゃなさそうだよね….大丈夫かな?)

私はそんなことを考えながら、レオンを見送る。

「….なんて人の心配してる場合じゃなかった。私も何かアイディアを出さないと」

その時、私の携帯が鳴った。


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「あ、マークから」

私はメールを開く。

『今日はせっかくのデートだったのにごめんね』
『明日、空いてる?俺に今日の埋め合わせをさせてくれないかな?』

(明日またデートできるなんて!)

『….もちろんOK!』

私は嬉しくなりながら、マークにメールを返した。


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翌日。
マークは約束通り、私をデートに連れ出してくれた。ショッピングした後、のんびりとセントラルパークを散歩する。

「マーク、今日はありがとう。楽しかった」

マーク「俺もだよ。昨日はホントごめん!」

「もう気にしないで。それより元家政婦さんが、大きな病気や怪我じゃなくてよかったね」

マーク「疲れが溜まってたみたい。できるだけ毎日お見舞いに行って顔を見せてあげたいなって思ってる。心配だしね」

「それがいいね。あ、でも今日は?」

マーク「もう行ってきた。入院先はグッドナー病院だから、レオンに連絡して面会時間をちょっと早めてもらっちゃった」

「そうだったんだ…」

(大変なのに、私をデートに誘ってくれて…)

「何かごめんね。忙しいのに、気を遣わせちゃったね」

マーク「違うよ。俺が⚪︎⚪︎に会いたかったんだ」

「え?」

マーク「昨日の時間だけじゃ全然足りないからね。⚪︎⚪︎の顔を見ないと、俺も元気出ない」

「ふふ。私、マークのガソリン?」

マーク「そうだよ、俺、燃費悪いからね。しょっちゅう補充してもらわないと」

マークがそう言って笑う。

(私はマークの笑顔に、いつも元気をもらってるよ…)

私たちは顔を見合わせて微笑む。その時、私たちの間を風が吹き抜けていった。

「まだ少し肌寒いね」

マーク「そうだね。おいで?」

マークが私に手を差し出す。私はちょっと照れながら、その手を握った。

マーク「⚪︎⚪︎の手、冷たいね」

「マークこそ」

マーク「じゃあ、ちゃんと手を繋いで温め合わなくちゃ」

マークがそう言って優しい笑みを浮かべる。

(こうして手を繋いで歩くのって嬉しい…)

私は改めてマークがそばにいてくれる幸せを噛みしめた。

「あ、そうだ。3月19日って、何か予定入ってる?」

マーク「19日?予定はないけど、どうして?」

「実はね…」

私は、みんなでバースデーパーティーを開く計画だと、マークに説明した。

マーク「みんなが、そんなことを?」

「うん。だからその日は絶対空けといてほしいの」

マーク「わかった。⚪︎⚪︎主催のパーティーなんて、楽しみだね。どんなパーティーになるのかな?」

マークがいたずらっぽく笑う。

(それが…まだ何も決まってないんだよね….)

「そ、それはその時のお楽しみってことで」

マーク「期待しちゃうよ?」

「あんまり期待されても…あ、マーク。誕生日当日は何がしたい?」

マーク「当日?そうだなぁ….」

マークがちょっと考えるように空を見上げる。

マーク「だんだん春っぽくなってきたし、テーマパークとか行きたいかも。⚪︎⚪︎と写真撮りまくったりして」

「テーマパーク?行こうよ!」

マーク「いいの?」

「もちろん!私もマークと一緒に行きたい」

マーク「やったね。じゃあ決まりだ」

「プランは私に任せておいて!しっかり調べておくから」

マーク「パーティーもあるのに?⚪︎⚪︎、頼もしいなぁ。ありがとう、楽しみにしてるよ!」

マークが嬉しそうに笑う。

(マークに喜んでもらえるように、頑張らなくちゃ!)

マークの穏やかな笑顔を見つめながら、私は改めて決意を固めていた。


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その夜。マークと別れて家に帰ると、私は早速パーティーや誕生日当日の計画を練り始めた。ネットで検索してみると、テーマパークのことはすぐに情報が手に入った。

「テーマパークの方は何とかなりそうだな。まずはパーティーのプランを考えないと….」

私はキーワードを変えながら、ネットで調べていく。

「あ、このサイト、面白そう」

私は『恋人にしてほしいサプライズ』というサイトを開いてみる。

(花束の贈り物….サプライズで旅行…夜景や絶景など形のないプレゼント….)

「ふふ。こういうの嬉しいよね」

(….あれ?)

ズラリと並んだ項目を眺めていくうちに、私はふとあることに気づいた。

「これ、みんなマークがしてくれたことだ….」

私は今までの出来事を振り返ってみる。
マークが私にプレゼントしてくれた、たくさんの思い出が頭をよぎった。

(マークは、いつも私のために映画みたいに素敵なサプライズを用意してくれて….本当に素敵な人だよね…)

改めてそんなことを思い、胸がじんとあたたかくなる。

「マークの誕生日に、少しでも感謝の気持ちを伝えられるといいな」

私はマークの喜ぶ顔を思い浮かべながら、パーティープランを練って行った。


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翌日。
私はパーティーのことを話し合うため、レオンの家を訪れていた。とりあえず、昨夜思いついたことを報告する。

「今考えているのは、まだこれくらいなんだ」

レオン「結構調べたな」

「まあね。でも、これといったものが見つからなくて」

レオン「大丈夫、まだ時間はある」

「そうだね。レオンは?」

「俺はパーティー会場のことを調べておいた」

レオンはそう言って、私の前にドサッと資料を置いた。

「こ、これ全部調べたの?」

レオン「ああ。この会場は広さは問題ないし、内装もマーク好み」
   「こっちのレストランはアットホームで料理がおすすめ」

「そんなところまで….」

(たった二日で、こんなにたくさんのプランを用意するなんて…)

意外なレオンの一面に、私は驚く。

レオン「ここはスクリーンがある。音響設備も整っているし、イベントをするには最適だと思うんだ」
   「⚪︎⚪︎はどれがいい?」

「….」

レオン「⚪︎⚪︎?どうかした?」

「あ、ごめん。ちょっとびっくりしちゃって….」

レオン「何で?」

呆然とする私を見て、レオンが不思議そうに首をかしげる。

「だって…レオン、普段はこんなことしないでしょ?」
「それに、こういう大勢が集まるパーティーとか苦手そうだし」

レオン「それは….」

「それは?」

レオン「…..マークの誕生日だから」

レオンがちょっと恥ずかしそうに言った。
その言葉に、私が嬉しくなってしまう。

「ふふ。レオンは本当にマークのことが好きなんだね」

レオン「誤解を招くような言い方をするな」

「気持ちなら、私だって負けないから」

レオン「俺と張り合ってどうするんだ?」
   「いいから会場を決めよう」

レオンが可笑しそうに笑う。

(マークって、本当にみんなに愛されてるよね)

私は自分のことのように嬉しく思いながら、レオンとの打ち合わせを進めていった。



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From: マーク
Title: お見舞い

今日の昼、またお見舞いに行ってきた、元家政婦さんも、⚪︎⚪︎のこと知ってるみたい。レオンが話したのかな。
みんなに祝福されて嬉しいよ。できることなら世界中に⚪︎⚪︎のことを自慢してまわりたいくらいだから。風邪ひかないようにね。俺の大事な⚪︎⚪︎。




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