2015年8月1日土曜日

第2話 Bの洗礼!?


第2話 Bの洗礼!?





















私は生まれて初めてリムジンに乗った。
隣にはブレア、対面にはチャックとブレアの彼・ネイトが乗っている。

「すごいね。高校生でリムジンを足にしてるって」

チャック「まあ、アッパーイーストの高校生の中でも、俺ぐらいのもんだろ」

チャックが少し自慢げに言う。

チャック「さ、乾杯でもするか」

チャックが取り出したのは、シャンパンのボトル。

「え?シャンパン」

ブレア「リムジンにシャンパンはセットでしょ?」

(この人たちって、未成年だよね)

そういえば、さっきのパーティー会場でも普通にお酒が並んでいた気がする。

「私、お酒はちょっと…」

チャック「お堅いこと言うなよ」

ブレア「一杯ぐらいいいじゃない」

「でも…」

ネイト「まあ、無理して飲むこともないよ。僕はコーラにしておく」

ネイトはそう言って、備え付けの冷蔵庫から缶コーラを出す。

ブレア「ネイト」

チャック「付き合い悪いな、おまえ」

ネイトは何も言わず、チャックに苦笑を向けた。

ブレア「⚪︎⚪︎は、何飲むの?」

「私もコーラで」

ネイト「了解」

ネイトが冷蔵庫からもう1本コーラを出し、渡してくれる。

「ありがとう」

ネイト「どういたしまして」

なんとなくネイトはチャックより優しい人のような気がする。
ブレアはまさに美男美女という感じでお似合いだ。
ふと、さっきの覗き見してしまった2人のラブシーンを思い出してしまって、
私は慌ててネイトから目を逸らした。

「ねえ、ホテル、まだかな?」

かなり時間がかかっている気がして、私は隣のブレアに聞く。

ブレア「ああ…もうすぐじゃない?」

チャック「この時間は道が混んでるからな」

「そう…」

やがてゆっくりとリムジンが止まる。

ブレア「着いたみたいよ」

「ありがとう」


私はリムジンのドアを開けて、外に出る。

(え?)

通りは薄暗くて、なんだか寂れた雰囲気。

「あの、ここは?」

私はリムジンの中にいるブレアに聞く。

ブレア「パレスホテルでしょ?」

ブレアが指さす方を見ると、古びた瓦造りのビルに「パレスホテル」の看板。

「え?」

窓から覗くブレアの顔にふっと笑みが浮かび、リムジンが動き出す。

「ちょっと!」

ブレア「じゃあね」

そのまま、リムジンは走り去ってしまった。

「うそ…」

私は呆然となって、あたりを見回す。
確かに目の前にあるのは、「パレスホテル」。
だけど、ミッドタウンにあるそれとはまるで別物。
私はブレアの顔に浮かんだ冷たい笑みを思い出す。

(これって、わざと…だよね)

ホテルの建物は真っ暗で営業している様子はない。
まわりのビルの壁は落書きだらけ。
街灯のランプは消えかけていて、出歩いている人もいない。

(ここって、かなりヤバイ地区?)
(どうして来たばかりのNYで、こんな目に合わなきゃいけないの!?)

ふと、NYに着いた時のことを思い出した。

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数時間前___
預けていたスーツケースをピックアップして、私は到着ロビーへ向かう。
大学教授のパパはロサンゼルスで学会があるとかで、
今日はパパの妹のエミ叔母さんが迎えに来てくれることになっている。
こちらでスタイリストとして活躍している叔母さんは、いつもパワフルで私の憧れの女性だ。

「叔母さん!」

エミ「やめてよ、叔母さんは。『エミリーって呼んで』っていつも言ってるでしょ」
  「とにかく、ニューヨークへようこそ」
  「⚪︎⚪︎が来てくれて、私も嬉しいわ」

エミリーはそう言って、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
空港からタクシーに乗り込み、到着したのはミッドタウンにあるパレスホテル。
パパが学会から戻るまで、私はこのホテルに泊まることになっている。
門をくぐると、石造りの重厚な建物がそびえ立っている。

エミ「素敵ねぇ、やっぱり。ニューヨークでも指折りのホテルのことはあるわ」

エミリーがため息混じりに言う。

「素敵だけど、豪華すぎて落ち着かないかも…」

エミ「ま、確かに高校生のガキンチョが泊まるホテルじゃないわねー」
  「兄貴には『⚪︎⚪︎が来たら、私のうちに泊めようか?』って言ったんだけど」
  「『おまえのうちは男の出入りが激しいから絶対ダメ!』って」

「ま、確かにね…」

エミ「男って言ったって、うちに出入りしてるモデルの子たちなんて全員ゲイよ」
  「なーんの心配もいらないのに」

「そうなの?」


エントランスから若い男性の2人連れが出てくる。
多分、私と同い年くらいなんだろうけど、
ハイブランドの服をさらっと着こなしていて、いかにもお金持ちっぽい。
2人の前に大きなリムジンが停まり、中から出てきた運転手が後部ドアを開ける。

??「遅いぞ。待たせるなよ、俺を」

不機嫌そうに運転手に言う男性を、連れの男性が「まあまあ」となだめ、2人はリムジンに乗り込む。

「リムジンかぁ…」

エミ「マンハッタンにはいるのよねー。こういうホテルに住んでるお坊っちゃまたちが」

(やっぱりすごいなー、ニューヨークって…)

私は走り去るリムジンを見送った。

チェックインを済ませて、エミリーとグランドセントラルステーションの
オイスターバーに早めの夕食を食べに行った。
伝統のあるお店らしいんだけれど、カジュアルな雰囲気で、楽しそうに食事をするお客さんで賑わっている。
私たちは生牡蠣と名物だというクラムチャウダーをオーダーした。

エミ「それにしても、⚪︎⚪︎のママはニューヨーク行きをよく許してくれたわね」

「うん…、最初は反対されたけどね」

私の両親は私が中学生のときに離婚して、私はママに引き取られた。
パパはその後すぐ、こっちの大学で教えることになって日本を離れたけど、
ずっと連絡は取り合っていた。

エミ「こっちに来る気になったのは、やっぱりママの再婚が原因?」

「それは…」

私は答えに詰まってしまう。

「別に新しいパパがイヤとかじゃないよ。優しい人だし、結構かっこいいし」

3ヶ月前、ママは10歳年下の彼と結婚した。
幸せそうなママの顔を見るのは嬉しい。
だけど、ママの彼を素直に「パパ」とは呼べない私がいる。

「私がいたらママも新婚気分が味わえないかなーって思ってね」

エミ「へー、オトナだね。⚪︎⚪︎は」

「からかわないでよ」

私はエミリーを軽く睨む。

エミ「けど、パパの方も再婚するって言ったら、どうするの?」

「え?!」

私は思わず、大きな声を出してしまう。

「パパにそういう人、いるの?」

エミ「さあ?」

「エミリー」

私は確かめるようにエミリーの顔を覗き込む。

エミ「いない、いない。兄貴はほんと研究バカだから。一回だけでも結婚できたのが奇跡」
  「って、結婚したこともない私が言うのもアレだけど」

エミリーは自嘲気味に笑う。

エミ「どちらにしても、あなたのパパが世界で一番愛してるのは、あなただから」
  「せっかく娘と暮らせるのに、他の女に邪魔されたくなんかないでしょ」

エミリーはおどけた口調でそう言った。


食事を終えて、エミリーとはレストランでお別れした。

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(それで、セリーナに会って…今に至るんだよね)

??「おい」

不意に誰かが私の肩を掴む。

(えっ?!)

私はおそるおそる後ろを振り向いた。
突然、誰かに肩をつかまれて、私は驚いて振り返る。
そこに立っていたのは、短髪の男の子。
私は反応に慌てて、彼は私の肩から手を離す。

男の子「ごめん、驚かせて」
   「きょろきょろしてたから、道にでも迷ってるのかと思って…」

真面目そうな雰囲気で、とりあえず悪い人ではなさそう。

「ありがとう。あの、ここって、どこ?」

男の子「ここは、ブルックリンだけど」

「ブルックリン?!」

ブルックリンはマンハッタンから橋を渡って東側の地区。
彼の連れらしい小柄な女の子が近寄ってくる。

ダン「俺はダン。で、こっちは、妹のジェニー」

ジェニー「ハイ!」

挨拶を返すと、ジェニーは私を見て「おや?」という顔になる。

ジェニー「あなた、もしかしてセリーナの友達?」

「えっ?!」

私は驚いて彼女を見る。

(パーティーで会ったのかな?)

けれど彼女の顔に見覚えない。

「どうして、私のこと知ってるの?」

ジェニー「これよ」

彼女はそう言って、私に携帯の画面を見せる。
携帯サイトに『セリーナの新しい友達?』と見出しが付いた私の写真。

(えっ?!)

あのパーティーで撮られたものらしい。

「何、これ?」

ジェニー「『ゴシップガール』のネタよ」

「『ゴシップガール』?」

ジェニー「アッパーイーストの高校生セレブのゴシップネタを提供するサイト。誰が運営しているのかは謎」

ジェニーが説明してくれる。
そういえばブレアのパーティーでも『ゴシップガール』という言葉を聞いた気がする。

ジェニー「今日は、セリーナがニューヨークに戻ってきたって話で持ちきりよ」

どうやらセリーナは、奔放なバッドガールとして、
いつも『ゴシップガール』に取り上げられる存在らしい。

(そんな風には思えなかったけど…)

ダン「まったく、女っていうのはそいういう噂話が好きだから」

ジェニー「お兄ちゃんもセリーナの記事読んでたじゃん。パソコンの画面、見たよ」

ダン「見間違いだろ」

ダンは少し顔を赤らめながら、とぼけるように言う。

ダン「それで、セリーナの友達のきみがどうしてこのブルックリンにいるの?」

「それは…」

私は事情を説明する。

ジェニー「かわいそう。ブレアたちって、そうやって時々、人をからかったりするみたいだから」

ジェニーが気の毒そうに言う。

ダン「アッパーイーストのお坊ちゃんとお嬢さんの暇つぶしに使われたってわけか」

「暇つぶし…」

ダン「ま、運が悪かったと思うしかないね」

ジェニー「タクシー拾うなら、表通りまで出ないと。案内するよ」

「ありがとう」

2人と話しながら、私は表通りに向かう。
ジェニーは私より3つ下で、同じコンスタンス・ビラード学園の生徒。
ダンは私と同い年で、コンスタンスと同じ敷地にある男子校、セント・ジュード学園の生徒。
チャックとは同級生らしい。

ダン「親父に勧められて入学したけど、ブルックリン育ちの庶民にはキツイ世界だよ」

ジェニー「お兄ちゃん、完全に浮いてるもんねー」

タクシーを探していると、携帯電話が鳴る。

「もしもし」

パパ「⚪︎⚪︎?今、どこにいるんだ」

聞こえてきたのは、パパの声だ。

「今は…えっと、ブルックリン」

パパ「ブルックリン?!なんでそんなところに?ひとりか?誰かと一緒なのか?」
  「もしかして、迷子になったのか?」

答えを待たずに矢継ぎ早に質問が飛んでくる。

「パパ、落ち着いて…」

パパ「とにかく、すぐ迎えに行くから」

「え?迎えに行くって…パパ、今、ロサンゼルスにいるんじゃ?」

パパ「ニューヨークにいる。おまえのことが心配だから、学会を早く切り上げて帰ってきたんだ」

「パパ…」

(過保護なんだから…)

ダンとジェニーに事情を話し、2人と仲良くなって、
ブルックリンの家に遊びに来たということで口裏を合わせてもらった。

「だまされて置き去りにされた…なんて、ちょっと言えないから」

ダン「そりゃそうだ」

ジェニー「過保護なパパを持つと、ほんと大変だよね。うちも同じだからわかるよ」

通りでおしゃべりしながら待っていると、パパがタクシーを飛ばしてやってきた。

パパ「⚪︎⚪︎、無事だったか?」

「もう、大げさな…」

パパはダンとジェニーと挨拶を交わす。
2人とも真面目な雰囲気な子なので、パパも安心してくれたようだ。

パパ「早速、いい友達ができて、よかったじゃないか」

「うん…」

『友達』という言葉に私はセリーナのことを思い出す。
『ゴシップガール』で話題の有名なセレブで、親友はあのブレア…

(セリーナって、やっぱり私なんかとは違う世界の人なんだろうな…)

パパに促されて、私はダンたちに別れを告げて、タクシーに乗り込んだ。





夢回南朝をはじめてみた!!!

お久しぶりですヽ(・∀・)ノ 1年前購入したBloggerのアプリ使おうとすると なぜか落ちてしまいイライラ。 ということでPCから更新! 画像がめんどくさー 実は今絶賛ゲームにハマり中(*´艸`) 今までやってたゲームは今はやってなくて (でも...